第9話 「同類と仲良くなるべからず」
友人が放った一言に深く傷つき、その傷から未だに立ち直れない‥‥
そんな経験はないだろうか?
上京して初めて出来た友達はS君といった。
5つ年上の彼は、アインシュツルテンデノイバウテン(ドイツの変なバンド)とか
ジェームス・ブラッド・ウルマー(変なギタリスト)等の変な音楽が好きで、
彼もまた、なんだかよく分からん変なノイズパンクバンドをやってる人だった。
同じ音楽関係の会社で知り合ったのだが、当時は給料もボーナスも非常によく、
彼はいつでも金を持っていた。
会社は、社長と事務のT子、Kさん、S君、ワシの5人。
毎月給料日には、Kさんに連れられS君とワシの3人、
ナゼかストリップに行くのが恒例だった。
その日もいつものように給料日に渋谷のストリップへ。
異様な熱気の中「影山なんとか」ちゅう有名(らしい)なダンサーが出てくる。
沸き上がる客席。ホ〜〜、まぁたしかにスゴイ美人。
ショーが終わって外に出ると、S君が何やらワナワナしている。
「どしたん?」
「‥‥‥見つけた‥‥」
「何を?」
「理想の女を!××ちゃん!(その影山なんとか)
俺は彼女と出会うために生まれてきたんだよ!間違いない!!
俺は彼女にこの世界から足を洗わせ、そして結婚する!」
デンジャーだよユー!!
次の日から彼は会社に来なくなり、毎日ストリップに通う。
しかし思いは通じず(当たり前)自分の過ちに気付いた時にはもうすでに
会社に籍はなく、その後仕事を探すでもなくブラブラして過ごすうち、
あれだけ持っていた金を全て使い果たす。
ついには自ら電気、ガス、水道すべてを止め、ロウソク、カセットコンロ
、
公園の水で生きるというシティサバイバーぶりを発揮するものの、最後は
家賃を払えずアパートそのものを永久追放。
住まいは6畳だったアパートから「何万畳」という井の頭公園へと大出世。
「住所?エヘヘ‥‥日本」
それを「ホームレス」というのだよS君。
「たしかにマズいよなぁ。冬がきたら俺、死ぬ」
お!やっと働く気になったか!
と思いきや「金がイイ」という理由でなぜかホモビデオに出演。
本人まったくのノーマルなのに。
「スゲェよ!今日なんてたった20分の撮影で7千円ももらっちゃったよ」
「どんな事するん?」
「俺は主人公の美少年につきまとう変態ホモ役でさ、
うまくダマして自分の部屋に連れ帰り縛り上げるのさ。
んで『ヒョ〜ッホッホ』とか喜びながらそいつの×××を×××して」
「変態ホモ役」「ヒョ〜ッホッホ」かぁ。
生きる、てツラいね‥‥
「相手の美少年ホモ役のヤツも全然ホモじゃなくてさー、勃たせるのに苦労すんだよー」
どんな苦労をするのか?聞きたくないワシがいる。
「明日もあんの?」
「うん、明日は美少年の彼氏役も交ざって、3人でまぁ、くんずほぐれつ」
‥‥ティムポ3本、画面せましとカラミ合う図‥‥
母さん、どーなるんでしょうね日本の未来は。
ビデオ出演で得た金でなんとかアパートをゲット、これで本腰入れて仕事を
探すかと思いきや、そのまま「ネズミ講」の世界へゴー。
そしてそこで出会った人妻と不倫、ヤ○ザ者の亭主が彼を狙う中、借金300万を
背負ったまま一人で何処かへとフェイドアウトして行ったのである‥‥
あれ以来S君とは連絡が途絶えたままだ。
彼はワシによくこう言っていた。
「りゅうた見てるとさ、5年前の自分を見てるようだよ。そっくり」
立ち直れない‥‥
つづく |