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第4話 「壁の穴を見落とすべからず」

 

中学3年の修学旅行、2泊3日で大分県にあるK温泉に行った時の事だ。

風呂に入る順は、1泊目は1組から始まり、入れ代わりながら11組まで順々に入り、
2泊目はその逆で11組から1組まで順々に、そう決まっていた。

1泊目、ワシら1組の生徒は1番風呂で大ハシャギ。
自分のライトサーベルで「スターウォーズ」の決闘シーンをやって闘ってる奴もいたが、
皆まだフォースの力が弱いのか、えらくフニャフニャで小さなライトサーベルたち。
そうこうして4組が風呂から出た頃、全男子の間に極秘情報が駆け抜けた。

 

「風呂の壁に穴が開いてて女風呂が見える!」

 

な、な、なにぃ!?
な、なんて事だ!ワシとした事がそんな大事な事にも気付かずに、永井豪原作
「変ちんポコイダー」の変身シーンを再現したりして遊んでしまったではないか!

皆で6組や7組の友達のとこへ感想を聞きに行く。

「み、見えた?」
「‥‥見えた」
「ど、どうじゃった?」
「‥‥黒くて‥‥三角だった」

さんかく!?三角だったんだね!黒くて三角だったんだね!

なぜか一同「黒くて三角」に湧く。
その夜、4組から11組までの男は、クラスメートの女子の
「黒くて三角」を存分に堪能した。

 

そして2日目。
みんな昼間の「阿蘇山観光」なんかは全く目に入ってなかった。
「風呂!」
リンナイかTOTOに就職できそうなくらい、皆風呂の事で頭がいっぱいだ。
「2晩連続ストリップ体験」という、大人でも部長クラスじゃないと不可能な
贅沢を味わう4組から11組の男たちはモチロン、なんといっても
1組から3組のヤローどもが待ちに待った夜がきた。

11組から順に入っていく。ワシは1組。ながい!長過ぎる!
6組、5組、4組と近付くにつれ、みんなソワソワと落ち着きがなくなる。
風呂から出てくる奴らは皆「そういうお店」から出てきたオヤジのように
「プハーッ」と満足げ。
ええから早よ!

そしてそれは、3組が出てくるはずの時間に起こった。

突然、風呂の方からスゴイ騒ぎが。
女子のキャンキャン騒ぎたてる声、先生の「ゴルァ!」とか「ウルァ!」など、
あきらかに男子が何かやっちまったらしい騒ぎだ。

「穴が見つかったらしいで!」

 

マ………マジ?

 

ホテルは上から下まで大騒ぎとなった。

事の次第はこうだ。
3組の男たちも一人ひとり交代で穴を覗いていた。
そんな中、一番最後に順番をまわされたイジメられっ子のN君。
先生から「そろそろ上がれ〜」と声がかかった頃、ようやく順番に。
みんなサッサと風呂から出て行く中、一人覗き続ける。
先生が一人だけ出てこないのを不審に思い風呂にもどると、なんとN君
ひたすら穴を覗きながら、おち××んを×××ていたのだ。

 

 

行く気だね?天国へ

 

こうして、2組と1組が入る時には、その天国への穴はすっかりガムテープで塞がれ、
腕組みした教師に見張られながら入るという、刑務所のような光景でワシらの青春は終わった。

こうだ。いつもこうだよ、ワシの人生。

4組の友達(2晩続けて女体を見た)は言った。
「まあまあ、しょうがないじゃん、あきらめなよ」
ニッコリ微笑むその顔は、ホトケ様のように慈愛に満ちていた。
あー!お前らこの2晩でオトナになってるぅ!
三角か!黒くて三角を見たからか!

そして、その時「黒くて三角」を見れなかったワシは、
なんだか未だにオトナになりきれないでいる。

                           つづく

 

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